最初に検討すべき3つのポイント

最初に検討すべき3つのポイント

通常、賃貸でオフィスを利用している企業は、その規模の「大」「小」に関係なく、また、「好む」「好まない」に関係なく、5年から10年に一度は、かならず賃貸契約の見直しがあります。

この賃貸契約の見直しをきっかけにしてオフィスの移転を考えるタイミングに直面することになります。

長期間、同じビルで事業を地道に継続させていくというのも一つの考え方です。しかし、2000年を超えたあたりから首都圏を中心とした都市部において企業が求めるオフィスの形が大きく変化しつつあります。一部の地方都市においても同様の変化が起こりつつあります。

従来からのオフィスに対する発想を継続していくのではない、新しい戦略がオフィス移転にも求められるようになってきているのです。

最初に検討すべき3つのポイント

オフィス移転を想定するにあたって最初に考えなくてはならないポイントは3つあります。

①.オフィスの立地
②.オフィスの賃料コスト
③.オフィスのスペース

これらを順にご説明します。

①.オフィスの立地

新しいオフィスの立地立地を考えるにあたって重要となるポイントは、事業の顧客対象が「法人(BtoB)」と「個人顧客(BtoC)」どちらであるかを土台として考えます。

最終的にエンドユーザーが消費者であるとしても、「通常の取引で接するのがホトンド法人で、かつ、取引先が来社されることも多い」となると、立地をどうするのかが大きなテーマとなります。

従業員が働きやすいオフィス立地を考えるのは当然です。しかし、取引先が来社されることが多いビジネスの場合には、そうした顧客にとっての利便性が高いことも重要な要素となります。

自己満足や独りよがりの立地に固執することになれば、売上にも影響を及ぼしかねないのがオフィスの立地ということになるのです。

とくに、新規のベンチャー企業においては、金融機関との取引にあたってオフィスを構えている場所が極めて重要な要素になります。また、取引き先との信用度を得るためにも立地が重要な要素となってきます。

その一方で、業態の変化と多様化により、都会の一等地にオフィスを立地させることに、あまりメリットがないケースもあります。たとえば、「低価格商品」や「送料無料」など低コストを売りにしてインターネット通販事業を運営しているような企業においては、あえて都会の一等地を選ばないケースもあるわけです。

オフィスを自社のビジネスの中でどう位置づけていくのかという考え方によって、オフィスの選択が大きく変わることになります。

②.オフィスの賃貸コスト

オフィスの立地について、いくつかの候補エリアにできてきたら、次に考えなければならないのが賃貸コストの問題です。

都心の一等地にオフィスを構えれば、とうぜん高い存在価値を確保することができます。それによる優位性の高まりといったものも得ることができます。しかし、デメリットとして賃料コストも高くなり、定常的に払うべきコスト負担が増えることになります。

オフィス移転の場合、最低3年から5年間は同じ賃貸料で事業を行うことになります。

単年ベースでそのコストを考えるのではなく、中期的な視点で予算を考える必要があります。つまり移転後から3年から5年の売上・経営計画を土台にして考えていくべきです。

オフィスコストとして計上できる「最小限のコスト」と「最大限のコスト」を計算してから具体的なオフィス選定を行うことが肝心なのです。

無理な計画は、企業経営に深刻なダメージをあたえることにもつながります。

最近では大手企業であっても3年から5年先の中期経営計画を明解に説明できるところは減少しており、将来を見通すことはなかなか難しいものになってきています。

それだけに販管費にしめる「オフィス賃料」と「維持管理費」を、急激に大きくすることは難しいのが実情です。

あくまでコストとして安全な範囲の中で利用できるオフィスを選択することが、オフィス選びの基本です。

売上や原価といった企業会計の視点で、どこまでオフィスに費用をかけられるのかということも冷静に考えてみてください。

③.オフィスのスペース

もっとも肝心なことがオフィスのスペースの問題です。

単純に、現在の賃貸物件から次の賃貸物件を探すというだけではなく、事業の拡大化によって、より多くの従業員が利用できるスペースを確保することが急務になるのがオフィス移転の課題の一つです。

大は小をかねることができます。しかし、必要以上のスペースを確保することはムダなコストを支払うことになります。

そういった点をふまえて、新しく借りるオフィスでは、あるていど従業員が増えたとしても対応できるスペースが確保できていることが重要になります。

こうした従業員の利用するスペースをどう確保するかについては、会社の文化が大きな影響を与えるケースもあります。

たとえば、ベンチャービジネスの場合、あえて創業感を社内につくりだすために、広々としたスペースを確保するのではなく、ガヤガヤと騒がしい大部屋の中で事業を前に進めていくという雰囲気作りをする発想もあるのです。

しかがって、オフィス移転には経営指針が大きくかかわってくることになります。すべてが効率だけで決定されないという場合もあるのです。

さらに、オフィスのレイアウトを大きく変化させることにより、社員のコミュニケーションを変化させるのも目的の一つとして考えることができます。

オフィスのレイアウトで、異なる業務をおこなう従業員同士がコミュニケーションを円滑にはかれるようにするといった社内改革もオフィス移転によって実現させることができるのです。

オフィス移転目的はある程度絞込みが必要

以上のように考えていきますと、オフィス移転では様々な目的を実現していくことが可能になります。

しかし、そのすべてを一律に実現させることは不可能です。また、コスト面から考えても「必須で、やらなくてはならないこと」と「ついで程度に、できればいいこと」をしっかりと切り分けていくことが大切です。

「欲張ってしまって、結局一つも効果がでなかった」というリスクもあります。これでは何にもなりません。

当然ですが、企業規模が大きくなるにしたがってオフィスを効率的に移転するということも定常的な企業の課題となってきます。

オフィス移転をおこなうにあたって、まずは目的を明確化することです。まずは、オフィスの選択条件の優先順位をしっかりと考える必要があります。これは、すべての企業に求められるようになっているのです。

なにを実現したいのか?この領域をはっきりさせて「実現したい最低限の課題」と「実現できれば、さらに満足度が高まると思う課題」をしっかり切り分けましょう。

オフィス選択と移転は、企業にとってはまさに重要な経営戦略の一つです。そして、安易に決定するのではなく、十分に検討を重ねていくことが必要となるものです。